土地家屋調査士とは?
まだまだ認知度が低く、土地家屋調査士という名前すら知らないという人も多い国家資格です。
一言でいうと、
「土地や建物を調査・測量して、その書類と図面を作成して登記の申請をする専門家です」となります。
ところが、登記の専門家は司法書士、測量の専門家は測量士と思われている人が多く、上記の説明ではわからないと思います。
司法書士は登記の専門家、測量士は測量の専門家であることは間違いありません。
さらに、土地家屋調査士も登記と測量の専門家というから理解できなくなるわけです。
司法書士が行う登記と土地家屋調査士が行う登記は異なります。
そして、測量士が行う測量と土地家屋調査士が行う測量は異なります。
この登記の違いと、測量の違いが、三者の違いになります。
司法書士と土地家屋調査士の登記の違い
不動産の登記記録は、土地と建物が別々に記録されていて、それぞれ表題部と権利部で構成されています。
表題部は、土地・建物の物理的状況(広さ・利用状況・構造など)が記録されています。権利部は、所有権を持っている人の情報や抵当権などの担保情報が記録されています。
この表題部の登記は土地家屋調査士が行い、権利部の登記を司法書士が行います。
そして、表題部が土地・建物を特定する事になるので、表題部のない不動産(地主の家屋など築年数の古い建物が多い)は、権利の登記ができません。
相続などで権利の登記が必要なときは、先ず土地家屋調査士が行う表題部の登記を申請してから、司法書士が行う権利部の登記ができるようになります。
※登記記録については、別の記事で書いてますのでご参照ください。【登記簿の見方】
測量士と土地家屋調査士の測量の違い
不動産登記の目的は、権利を守ることです。そのために測量して隣接する土地の境界をはっきりさせて、その結果を表題部に登記します。
表題部の登記は土地家屋調査士の業務で、測量士は登記ができません。
登記をするためには、測量の他に調査結果や権利調整した報告書などの資料作成も必要です。
測量士は、ダムや川、道路やトンネルなどの特殊な測量も行います。
大規模な公共の測量は測量士が行い、登記を目的とした測量は土地家屋調査士が行う。
このように区別すると分かりやすいと思います。
土地家屋調査士が行う代表的な登記
実際にはどのような時に登記が必要になるのか、よくある場面を土地・建物、それぞれ3パターンご紹介します。
土地
① 境界や面積を知りたいとき
「売却するので面積を確定したい」
「相続前に境界を確定して問題を残したくない」
→境界確定測量、土地地積更正登記が必要です
② 駐車場を宅地に変更(用途を変更)したとき
「駐車場の解約も済んで、上下水道管の引き込み工事も完了」
→土地地目変更登記が必要です
③ 土地を分けたいとき
「同じ敷地内の建物ごとに土地を分筆したい」
「共有地は避けたいから分筆したい」
→土地分筆登記が必要です
建物
④ 新築したとき
「家を新築した」
→建物表題登記が必要です
⑤ 増築したとき
「平家を2階建に増築して家の面積が広くなった」
→建物表題部変更登記が必要です
⑥ 建て替えたとき
「家を取り壊してから、新しく建築した」
→建物滅失登記、建物表題登記が必要です
土地家屋調査士が生まれた年
1950年(昭和25年)に土地家屋調査士法が制定されて、不動産の表示に関する登記を所有者に代わって申請できる土地家屋調査士が誕生しました。
2020年(令和2年)、70周年を迎えることができました。
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