不動産の相続登記をしてこなかった相続人(子孫)の末路

登記
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未登記が原因による弊害

相続が起きたときに相続人で協議をして相続登記をしておけば避けられたトラブルを三例ご紹介します。被相続人が遺言書を残してくれていたら、争族になっても早く対応しておいたら、争族を放棄しておけば、などいまさらどうすることもできないことです。

人が亡くなって、その子供も成長して結婚、そして子供ができて、また成長して、時間が経てば経つほど鼠算のように相続の権利を持つもの、関係者の数は増えていきます。

二者、三者間であれば話し合いで解決できたことも10人、もしくはそれ以上になってしまうと話し合いで解決することが不可能になってきます。

後でトラブルに巻き込まれるのは、何も知らない正直で誠実なお孫さんかもしれません。相続の権利があるというだけでトラブルに巻き込まれ、普通の生活ができなくなる方もいます。

子や孫にまで苦労させたくないのでしたら、相続が起きたその時に解決することです。

どこに引っ越しても知らない人が訪ねてくるし、いたずら電話があり、穏やかに生活できなくなったMさん

共同墓地の一角にある先祖のお墓。登記記録に記載されている方とは氏が同じというだけで戸籍上の繋がりは証明できない。役所の住民係でも古すぎて調査することができないと言われた。

他にも同じ氏のお墓はあるが、過去に近くに住んでいたことがあり、その記録から現住所迄調べてくるらしい。一度電話番号を答えてしまったことがあり、それから急に電話の回数も増えた。

  • 境界立会をしてほしい
  • 土地が越境している
  • 雑草の手入れをしろ

など、土地所有者と決めつけて言ってくる人が多いという。

嫁いだ身である上に子供もいない。それでも容赦なく言い掛かりを付けてくる人も多い。死ぬまで静かに落ち着くことができないと思うと気が狂いそうになる。

台風で倒れた庭の桜が隣家の一部を壊した責任を取りたくないので、帰ることができなくなったAさん

海に近い傾斜地に建つ1件の別荘。この建物の所有者は、数年間の長期にわたり一度も使わない時期がありました。その間に庭の桜が成長して、その根が土留めの擁壁を壊していました。そんなことが起きていることを知らない所有者でしたが、住所変更の登記や相続の登記をすることなく年月だけが経過していました。

もう何年も前のことですが、この物件の調査をしたことがあり役所に行って話を聞く機会がありました。

  • 所有者の所在が不明
  • 固定資産税の滞納が十年以上続いている
  • 倒壊の危険性がある物件のため役所の管理者責任を問われたくないから差押をしないでいる

というようなお話でした。

まだ十分に生活できる建物で、立地や環境も良い物件でした。売却することもできると思ったのですが、滞納した税金と擁壁の修理費用を払いたくない所有者はその別荘に近づくことすらしなくなっていました。そして、役所も所有者を探す努力をしないで、何事もなかったように見て見ぬふりを続ける様子でした。

このようになるとどちらが悪いというよりも、倒壊した場合に被害を受ける隣地の方が一番の被害者のような気がします。

いまどのようになっているのか知りませんが、応急処置ぐらいはすぐにできる制度作りも必要だと思います。

Aさんの相続人の方がクレームを主張できなくするようにすることも急務です。

相続人の一人であることを名乗ってしまい処分できない空き家の借地料を払い続けているSさん

最後はとても気の毒な方のお話です。

Sさんはご結婚もされてお子様が生まれ、新居に越したばかりでした。一番幸せな時期だったと思います。そんなある日、一人で元気に暮らしているお母さんから祖母が亡くなったことを聞きました。

お母さんの話によると過去に住んでいたことのある家を相続できるらしいとのことです。今は誰も住んでいない空き家になっているそうですが、借地権で建っているために大家さんも解体できずにいたらしいのです。

場所が首都圏ということもあり資産価値もありそうです。大家さんも相続人を探していました。そんな時に自分が相続人であることを知ったSさんは大家さんへ連絡しました。

借地料は、父方の祖母が支払っていたので、祖母が亡くなったことで、滞納状態になっていました。相続をしようとしたSさんは、その滞納分を支払いました。そして相続登記をしようとしたら、、、

この建物の登記名義人は、Sさんの父方の祖父の名義のままです。Sさんのご両親は、離婚されていて、Sさんのお父さんは、再婚されていたそうです。両親の離婚後、Sさんはお母さんと暮らしていたので、その後のお父さんのことを知らないままでした。

Sさんのほかにも相続人の存在が判明しました。

相続人探しが始まりました。Sさん本人も自ら足を運んで相続人を探されています。机上の調査では、相続人の住所氏名までたどり着くことができました。でも未だにお会いすることが叶いません。

この相続人の存在があるために、建物を壊すことも、借地権を売却することも、登記をすることもできないまま時間だけが経過しています。

折角相続した不動産も、借地料を払い続けなければならないただの負担でしかありません。いつまでこの状態が続くのでしょうか?このままの状態が続くようでは、Sさんが精神的にも金銭的にも追い詰められてしまうでしょう。

まとめ

3件の事例を紹介させていただきました。どれも時間の経過で悪化したケースです。時間の経過とともに関係者が増えて協議が難しくなることが相続の一番の問題です。

先延ばしにして得することはありません。面倒だから、いまお金がないからと目先のことにとらわれずに、相続は起きたときに登記まで済ますようにしてください。

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