登記記録(登記簿)の見方

登記
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登記簿の見方

不動産取引の基本は、登記記録と現地の調査です。
書類や写真からの印象と実際に現地に行ったときに受ける印象は異なります。
買う、借りる、どちらにしても大金を払って、長いお付き合いの始まりに実物を確認することは当然のことです。

では、登記記録の調査はどうかというと、全くしていない方が多くいらっしゃいます。登記記録を調査することの重要性については、ここでは省略しますが、登記記録に何が書かれているのか、そして、見方がわからないから調査する意味がないと言われる方のために、登記記録に書かれていることとその見方をまとめてみます。

登記記録(登記簿)とは?

不動産の登記記録は、不動産について、1筆(1区画)の土地または1個の建物ごとに目に見える物理的状態を記した表題部と目には見えない権利関係を記した権利部の二つに区分して作成されています。
その記録は、土地と建物が作られた(作られた時期が不明な建物や土地は多数ある)ときからいまに至るまでの変化の時期と原因とともに登記所で保存されています。

誰でも登記記録を閲覧することができ、その内容を書面(登記事項証明書のサンプル写真参照)で交付してもらうこともできます。

表題部に書かれていること

現況と登記記録が一致していることが目的。変更があった時などは、1ヶ月以内に変更の登記申請をしなければならない。と不動産登記法では定められていますが、実行されていないことが多い。
売買や、融資を受けるときの担保にするなど、権利の移転や設定時に変更登記がされることが多い。特に、融資の担保や不動産の証券化の際には、実態と登記記録が一致していることが条件となることが多く事前確認が大事になる。
下記は知っておいた方が良いと思われるものです。

1.土地

不動産番号:1筆の土地に対して一つの番号が与えられている。マイナンバーのようなもの。

所在:行政区画の名称。不動産の位置を特定する住所のようなもの。〇〇自治会のエリア内というように最後まで特定していない。

地番:上の所在とセット。同一所在内で一筆毎に付番されている。1筆の土地に対して一つの地番が決定されている。

地目:土地の現況と利用の目的およびその主たる用途によって決まる。23種類(田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地)に分類されている。

太字だけ覚えれば十分です。田、畑は農地法との関係を、公衆用道路が私道のときには課税状況を確認するようにしてください。

地積:広さが平方メートルで記載してあります。

登記原因およびその日付:山林を造成して宅地に変更したり、1筆の土地を2筆に分筆したりして変更の登記申請をしなければならなくなった具体的な原因とその原因となった具体的な日付。

登記の年月日:登記申請の原因となった日付ではなくて、実際に登記申請をした日付。

所有者およびその持分:当該地の所有者の住所氏名。共有の場合は、共有者全員の住所氏名と各共有持分。

2.建物(区分建物以外)

不動産番号:土地と同様、1個の建物に対して一つの番号が与えられている。

※建物の数え方は、効用上一体として利用される状態にある建物は、1個の建物として取り扱うと定められている。例えば、居宅として使っている主たる母屋があって、物置としての従たる倉庫、そして、屋根と壁もあるガレージとしての従たる建物の3棟があった場合、3個の建物とは数えないで、自宅としての効用上3棟で一つと考えられるときは、1個の建物として取り扱う。

所在(所在地番):住居表示とは異なる。1個の建物の敷地となっている土地の全ての地番が記載される。

建物の名称があるときは、その名称:アパートや寮など名称がつけられているときには、その名称。

家屋番号:1個の建物に対して一つの家屋番号が付される。

種類:建物の主たる用途により定められる。例えば、専用住宅として使われている一戸建住宅は、「居宅」。その戸建住宅を増築してお店を併用した場合には、「居宅・店舗」となる。

構造:建物の主たる部分の構成材料、屋根の種類および階数によって定められる。農家の主屋などは、「木造瓦葺2階建」が、賃貸マンションでは、「鉄骨造陸屋根4階建」などがよく見かけます。

※木造瓦葺2階建とは、木造の瓦屋根の2階建の住宅です。
鉄骨造陸屋根4階建とは、鉄骨造で壁がALCパネルで覆われた屋根の形状がほぼ平なマンションで4階建のものです。

床面積:各階ごとの壁などの中心線で囲まれた部分の水平投影面積を平方メートルで表してます。賃貸や販売のパンフレットの図面とは面積の算出方法が異なります。

登記原因およびその日付:建物の新築、増築、リフォームなどの登記申請をする原因とその原因が起きた日付。

登記の年月日:実際に登記を申請した日付。

その他附属建物の表示:1個の建物が数棟の建物で構成されている場合、主たる建物以外の従たる附属建物の表題部の内容。

所有者およびその持分:当該1個の建物の所有者の住所氏名。共有の場合は、共有者全員の住所氏名と各共有持分。

3.区分建物

区分建物は、その構造上、1棟の建物が1棟全体と複数の専有部分とで構成されています。現況建物の物理的表記も1棟全体の権利と各専有部分の権利とが別々に記録されています。大きく分けると下記の通りです。

  • 一棟の建物の表示
  • 敷地権の目的たる土地の表示
  • 専有部分の建物の表示
  • 附属建物の表示
  • 敷地権の表示
  • 所有者およびその持分

以上
一つ一つの見方を説明すると長く複雑になりますので、区分建物の登記については、宅地建物取引士、土地家屋調査士や司法書士などの専門家に確認してください。

権利部に書かれていること

登記記録は、1筆の土地と1個の建物ごとの現況を記録した表題部が作成されるたのち、所有権に関する登記が申請されると権利に関する「甲区」が作成される。そして、抵当権の設定登記などが申請されて「乙区」が作成される。この甲区と乙区を権利部と呼ぶ。

このように登記記録は、表題部と権利部に区分されるが、表題部の登記だけをして権利に関する登記をしないでおくこともできる。権利の登記に必要な登録免許税の節税が目的。例えば、大会社が建物を新築して、その表題登記をした後、お金を借りることをしないで建築したのであれば抵当権などの設定登記をする必要がない。抵当権の設定登記のためには、所有権の保存登記をする必要があり、登録免許税が必要になる。この権利に関する所有権の保存登記をしないことで登録免許税が節約できる。
このようなときには、登記記録は表題部しか存在しない。表題部分は申請義務があるが、権利に関する登記は申請義務がないからできる節税です。

1.甲区の所有権に関する登記の例

  • 所有権の保存
  • 所有権の移転
  • 所有権の抹消
  • 所有権の買戻し
  • 差押
  • 仮差押
  • 仮処分
    など

2.乙区の所有権以外の権利に関する登記の例

  • 抵当権
  • 根抵当権
  • 質権
  • 賃借権
  • 地上権
  • 地役権
  • 先取特権
  • 永小作権
  • 採石権
    など

3.共同担保目録と信託目録

共同担保目録は、複数の不動産をまとめて担保として提供すると作成される。
信託目録は、不動産を信託財産として受託者へ託す契約をして信託登記申請すると作成される。
どちらも、大事な権利に関することです。専門家へ確認するようにしましょう。

登記記録からわかる重要な情報

表題部から不動産の成り立ちがわかります。
甲区は所有権に関する登記です。その不動産の所有者は誰で、いつ、売買・相続など、どのような原因で所有権を取得したかがわかります。
乙区からは、借金や他人の権利の有無など、最低価格や購入後の使用制限などを想像することができます。所有者本人(売主など)に確認し辛いことも、紹介してくれた不動産会社の営業マンへ質問することもできます。

もし、差押の登記があるようなら競売の手続きが進んでいるかもしれません。
所有権移転の仮登記があれば、第1順位が予約されていることと同じです。どんな条件なら優先順位を変えることができるのでしょうか?
もしかしたら、すでに所有権が移転していて購入することができない物件かもしれません。
大変残念なことですが、不動産で騙される人がいます。登記記録を確認するだけで、防げることがたくさんあります。

お金と鍵の交換、そして所有権移転登記は同時に行うことが重要です

質問  何年もの貯蓄の末,ようやく自分の家を買いました。代金も完済し,領収証も受け取りました。 約1カ月後,登記手続をしようとしたところ,いつのまにか名義が別の人に変わっていました。 調べてみると,売主がより有利な条件で別の買主に二重売買したというのです。先に契約を結んだのは当方。所有権を主張できるでしょうか。

回答  せっかく手に入れたマイホーム。しかし,残念ながらあなたは所有権を主張することができません。 たとえ先に譲り受けても登記を備えていないと,第三者に対する関係ではそれが存在しなかったものと 扱われてもしかたがないのです。不動産物権変動は登記を備えてはじめて誰に対してもその存在を主張できるのです。トラブルを避けるために,取引がすんだらできるだけ早く登記手続を行いましょう。

法務省のホームページから引用

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