農地法と所有権移転、地目変更登記の重要な関係

登記
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農地を宅地や駐車場に変更するとき、売却や貸したりするときは事前に農業委員会への届出や許可が必要になります。特に、売買などの権利移転に関しては、売買代金の全額を支払ったのに所有権の移転が出来ずに大きなトラブルに発展するなどの大問題になることもありますので注意が必要です。

ここでは、トラブルにならないために最低限必要な手続きと確認方法について説明いたします。

農地法の届出と許可の違い

農地法の許可と届出では、手続きの繁雑さと完了までの時間が大きく異なります。許可と届出の線引きは対象となる農地が市街化区域内にある土地かどうかで判断します。市街化区域内の農地転用は農業委員会への事前の届出でよいとされています。

市街化区域と農地を調べる

都道府県別の市街化区域を調べる⇒MapExpertの用途地域マップで調べることが出来ます。

全国の農地を調べる⇒全国農地ナビで調べることが出来ます。

※農地とは、登記簿の地目が「田」・「畑」である土地(耕作されていなくても農地として扱われる)。また、登記の地目が農地でなくても、実際に農地として耕作されている土地は農地法の対象となります。

農地法第4条と第5条の届出

市街化区域内の届出は、農地法第4条と第5条の違いを理解しておきましょう。

農地法第4条

所有者自らが、農地から宅地や駐車場などに変更して使用する際に必要な届出です(自己転用)。

所有者が単独で届出する。

農地法第5条

売却や賃貸などで権利の移転と、買主や賃借人が農地から宅地や駐車場などへ用途変更して使用する際に必要な届出です(権利移転と農地転用を伴う)。

譲渡人と譲受人が協同で届出する。

川崎市 農業委員会農業委員会事務局『農地転用届出手続きの流れ』

なぜ農地法の届出が必要なのか

市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。

都市計画法 第7条(区域区分)第2項

都市計画法にもある通り、市街化区域は市街化を図る区域であり区域内の農地転用も多く、申請ごとに審査して許可をすると、時間と人の労力の浪費になってしまい、優先的かつ計画的に市街化を図ることが出来ません。よって、特例的な届出制になっていると考えられます。

しかしながら無秩序に開発することを推奨しているわけでもなく、農地の管理も重要事項のひとつです。

農地法の効力

一番の法的効力は、取引の無効化。届出が受理されるまでは、市街化区域内の農地の売買などによる所有権移転の効力が発生しないことになります。

市街化区域内農地の所有権移転を有効に行うためには、既に宅地に転用済みの土地であれば所有者が農地法第4条の自己転用の届出をした後、登記地目が農地であれば宅地へ地目変更登記を完了させてから所有権移転登記を申請する。あるいは、農地の所有者である売主と買主が協同して農地法第5条の届出をした後、所有権移転の登記を申請する方法が考えられます。その後、地目が農地なら地目変更登記の申請を忘れないようにしてください。

登記地目と現況地目が異なる土地のデメリット

  • 登記地目が農地のままだと売買などで所有権の移転ができない
  • 銀行など金融機関から土地を担保に融資を受けられない
  • 売却し辛い
  • 固定資産税等の課税の基になる課税地目と異なり、申請しないと登記地目は変更されない
  • 不動産登記法第37条と第164条で罰則規定が定められている

(地目又は地積の変更の登記の申請)

第37条 地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から1月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。

(過料)

第164条 第36条、第37条第1項若しくは第2項、第42条、第47条第1項(第49条第2項において準用する場合を含む。)、第49条第1項、第3項若しくは第4項、第51条第1項から第4項まで、第57条又は第58条第6項若しくは第7項の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する。

不動産登記法より抜粋

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