未登記建物の建物表題登記を相続人から申請する
離れて暮らしていた親が亡くなり、葬儀も済んで少し落ち着いたころ、親族の間で相続の話が始まります。預金口座の確認や各種保険や年金の手続きとやることは多いのに肝心の書類がどこにあるか分からない。と、よくあることだと思います。
建物が未登記だと発覚
大事なものがあると思われるところを全て家捜ししてやっとのことで手続き終了。同時に、片付けと不用品の処分、形見分け用の仕分けもされると思います。
金庫の中には不動産の権利証もありました。この不動産もどうするか?相続の話し合い次第です。土地の権利証だけで建物の権利書が見つかりません。固定資産税の納付書や電気やガス料金の領収書は親宛になってました。知り合いの司法書士に相談したところ、実家の建物が登記されていないことが判明しました。
両親が土地を購入して家を新築したことは兄弟姉妹みんながはっきりと覚えています。
建物の表題登記を申請する
話し合いで揉めることもなく、実家の土地と建物は近くに住んで親の面倒を見てくれていた長男が相続することになりました。
相続の話し合いも終わり、遺産分割協議書も無事に作成できました。あとは遺産分割協議書の通り相続の分配をするだけです。
不動産の相続による所有権の登記が必要
実家の土地の登記はあるのですが、建物の登記はありません。誰の建物なのかは親が新築した事実に間違いはないので親の建物だと推測できます。
長男が相続するためには、建物の登記が必要になります。所有権を主張するためには、建物の表題登記と所有権の保存登記が必要です。
- 建物の表題登記は建物が新築されて存在していることを示し
- 所有権の保存登記はその建物の所有者が誰なのかを示すことになります。
- 表題登記は土地家屋調査士が、所有権の保存登記は司法書士が代理申請することが一般的です。
相続人全員から法定相続分を持分とする建物表題登記を申請することはできますが、被相続人名義での建物表題登記は、すでに死亡していて本人確認が出来ないため被相続人名義での登記申請はできないと考えられてます。
法定相続分での登記をしてしまうと、相続の協議が完了した後、相続する人への所有権の持分移転登記が必要になり、余計な費用が必要になってしまうので遺産分割協議書が出来上がってからの登記申請をお勧めします。
建物の表題登記に必要な書類
相続人から被相続人の未登記建物の表題登記を申請するためには、被相続人の所有権を証する書類と相続人が相続で取得したことを証する書面が必要になります。
被相続人と相続人の所有権を証する書類
所有権を証する書類
- 建築基準法の確認済証
- 建築基準法の検査済証
- 建設業者からの工事完了引渡証明書
- 建設業者との建築工事請負契約書
- 建設業者からの工事代金領収書
- 固定資産税の納付証明書(過去3年分程度)
- 固定資産台帳登録事項証明書
など
その他所有権を証するに足りるとされる書類
- 火災保険証
- 隣接所有者からの証明書
- 建物を貸している場合の借家人からの証明書
- 相続人の遺産分割協議書
- 被相続人の遺言書
- 土地が借地の場合の土地の賃貸借契約書
- 土地が借地の場合の土地所有者からの証明書
など
その他、申請に必要な書類
- 土地家屋調査士への委任状
- 各階平面図と建物図面
- 申請人の住民票
ほかに相続関係を確認するために戸籍謄本などが必要になります。
個別の詳細は、土地家屋調査士へお問い合わせください。
まとめ
- 未登記建物を相続するには、建物の表題登記が必要
- 表題登記は、相続の協議が完了し遺産分割協議書が出来てから申請する
- 所有権を証明する書類が残っているほど土地家屋調査士の報酬額が抑えられる
- 所有権を証明する書類は、作成に時間と手間がかかるため余計な出費が増える
- 相続の分配と相続登記と相続税の申告が完了するまで、親の書類は処分しないで残しておく
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