境界確定測量の立会確認でここが境界!?と驚かれた経験をお持ちの方も多いと思います。隣地は建て替えが終わったばかりで、ブロック塀とフェンスも最近工事されたものです。数年前に作成された境界確認書もあります。現地は境界標が確認できるように掘られていてコンクリート杭が確認できます。
それなのに、ここが境界ですと説明された場所はそのコンクリート杭よりも数センチも異なる場所でした。新設されたブロック塀からますます離れたポイントが正確な境界の位置だとの説明です。いま在るコンクリート杭が境界(筆界)だと何か問題になるのですか?
法務局に保管されている地積測量図が正しい
対象土地の境界を確定することは、隣接する土地との境界も確定することになります。この境界を結んで一筆書きで繋ぎ合わされた土地の面積が法務局にある登記の地積に記されています。そして、この対象土地の地積測量図が法務局に保管されていれば、その地積測量図を基に現地で復元して既存の境界標および隣接土地境界の整合性を確認することになります。
また、対象土地の地積測量図がなかったとしても、隣接している全ての土地の地積測量図が在れば、対象土地の境界(筆界)を復元することが出来ます。
過去の記事です。ご参照ください。
地積測量図と境界確認書
法務局に地積測量図はないが、土地の所有者が境界確認図書を持っていることがあります。対象土地の図面のときもあれば、隣接土地の測量図のときもあります。
過去、測量して隣接土地所有者と境界立会もして境界確認書まで作成したが登記申請をしなかっただけかもしれません。重要な参考資料になります。相続などで紛失してしまうことも多いので、登記できるようであれば法務局に登記しておかれた方がよろしいかと思います。
境界確認書は測量した人が作成し、境界に接する土地所有者が同意したものです。隣接土地所有者間で協議・同意してつくられた境界かもしれません。この場合、その境界はお互いの所有権界(境界)であり、法務局で管理されている筆界(境界)とは一致しない可能性が高くトラブルになり易く危険です。
法務局への登記を前提とした測量をして境界確認書と登記用の地積測量図を作成し登記を申請できるのは、土地家屋調査士と定められています。さらに、登記を申請すると登記官が申請内容を精査して、隣地等と整合性がなかったりおかしなところがあると補正するよう通告してきます。土地家屋調査士と登記官のダブルチェックで問題がないと認められた申請だけが登記されるので、後のトラブルが起きにくい制度となっています。
登記された地積測量図と登記されていない境界確認書があった場合には、原則、登記してある地積測量図が正しい境界(筆界)として取り扱うようにします。
地積測量図の座標値による復元
法務局に在る地積測量図を復元したら既存の境界標の位置が1,2センチ程度ズレてる。なんていうことはよくあります。測量機器の操作や境界点に反射ミラーを置く作業は人が行います。いわゆるヒューマンエラーが原因です。どんなに測量機器が進歩しても完全になくなるということはないでしょう。
時には10センチ以上もズレていることもありますが、これも解体工事や建替え、外構工事のときに動いてしまったと考えられます。そして、解体工事のときに動いてしまった境界標に気が付かないまま建替え工事も完了し外構工事でブロックなどを積んでしまうと、境界を復元した時にブロック塀と境界線が一致していないことに気が付くことになります。
刑法第262条の2(境界損壊罪) 境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
境界標を勝手に動かすことは法律で禁じられていますので、必ず境界立会確認のうえで正しい位置に戻すようにしてください。
境界標を復元しないことのデメリット
一見すると正しい位置にあるような気になり、復元するとブロック塀と境界線が明らかにずれていることが明確になるときなど、そのままにしておきたい気持ちになることがあります。
しかしながら、その境界標に接している土地の地積測量図が法務局に在り、現地で境界の復元ができるようならば、できる限り早いうちに復元点に戻しておいた方が良いと思います。
その境界に接している土地の事情を知っている所有者が売買や相続で変わってしまった場合や隣人関係が何かのトラブルで悪くなってしまった場合など、境界標の復元が出来なくなることも考えられます。
また、境界復元が出来ないことで土地が小さくなってしまうことや、新たに分筆登記が出来なくなったり、金融機関の担保価値が著しく下がってしまうことも考えられます。
地積更正登記のメリット
- 法務局で地積測量図が保管されるため土地の大きさと形が誰でも知ることが出来る
- 現地と登記簿が一致しているため金融機関にとって担保評価がし易い
- 境界がはっきりするため売却しやすくなる
- 土地の分筆が出来る
- 登記申請前に全ての境界が正しい位置にあることを隣接土地所有者と実際に確認する必要があるため境界トラブルの防止になる
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