マンション投資の原理原則

投資
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マンション投資の仕組み

「そのマンション投資、騙されてません?」

新型コロナ騒動で、世界規模での移動規制や外出自粛。
旅行業と航空業、外食産業に宿泊施設は大打撃を受け、失業者が一気に増えた2020年でした。
ますます貧富の差が拡大するなか、持ってる人のお金は消費する場所を失い、投資へと集まってきたのでしょうか。

NYダウが史上初の3万ドルを突破し、日経平均株価も3万円に到達しました。仮想通貨ビットコインは600万円を超えたと聞いて唖然とし、苦しいときには大儲けする人もいることを再認識させられてます。
持ってる人の使途が限られるときは、投資の世界が過熱するのですね。

不動産業界も不思議なもので、これだけの騒動で倒産する企業、大規模なリストラと景気が良くなってきたとはとてもいえない中でも、外出自粛にテレワークと家にいる時間の増加が原因してか、住宅需要が安定して、住宅価格は暴落することなく高止まりを維持している状況です。

当然、不動産投資に参入する人も増えているようですが、いまこの時期に始める不動産投資のカラクリを理解している人がどれだけいるのかかなり疑問に思います。

投資目的は、お金を増やすこと。
自分のお金が減ることを自覚して、他人にお金を与える行為は、寄付。

投資である以上、一定のリスクはあります。100%必ず増える方法は存在しません。
リスクを理解した上で、リターンを狙ってお金を使うことが投資です。

数ある投資の中で、不動産投資だけに、唯一公然と認められているメリットもあります。
もっとも始めやすい不動産投資が、マンション投資。
特に都心のワンルームマンションへの投資を取り扱う不動産会社は無数にあります。
営業マンの話を鵜呑みにするのではなく、自分自身でも少しは勉強することがマンション投資を成功させる鍵になります。
マンション投資の基本を理解して、大切なお金を無駄にしないようにしましょう。

『他人のお金で投資できる!』

株を買いたいからお金を貸してくださいといっても貸してもらえません。
FXで勝負したいから融資してといっても相手にされません。
ビットコインも然り。自分で稼いで貯めた手持ちのお金がないと購入できません。
不動産投資は、自分のお金を使わなくてもできる。
他人からお金を借りて投資できることが、最大のメリットです。

そのメリットに目が眩み、お金を借りてマンションを購入することがゴールになっていませんか?

今の不動産投資は、バブル期の不動産や株・FXのように、今日買って明日儲かるということは考えられません。
3年、5年、10年と長い時間をかけて、家賃で収入(インカムゲイン)を蓄えながら値上がり益(キャピタルゲイン)を期待するものです。

融資を受けてマンションの決済をして引き渡しを受けた瞬間、損金を確定させている人が、また増えてきました。
投資ではなく、寄付をしている人です。

マンション投資をやめろといっているのではありません。
目的を認識して、不動産投資のカラクリを理解して始められては如何ですか?

マンション投資を理解するため、不動産投資で失敗しないための注意事項をまとめていきます。

必ず調査しなければならない2大事項

  • 1.物件価格の相場
  • 2.賃料の相場

1.物件価格の相場

いつどんな時にも物件の相場価格は決まっています。
この相場価格を知っていれば、高く買いすぎて売るときに大損することもなくなりますし、安すぎる場合には原因を調べて対処できるなら購入すれば良いし、容認できなければ買わずに他の物件を探すこともできます。

物件価格の算出方法は、以下の3通りです。それぞれの計算方法も簡単に解説しますので、なんとなくでもイメージしてみてください。

① 取引事例比較法
② 収益還元法
③ 再調達原価法

① 取引事例比較法

対象物件と似た条件の物件の販売価格や成約事例を収集し、各物件ごとに優劣を比較して対象物件の価格を算出する方法。

例えばマンションなら、インターネットで検索できます。
対象マンションの住所とマンション名を入力すると物件情報から賃貸情報まで検索できますので参考にできます。
同一マンション内の物件情報がなくても、民間の不動産情報サービスから同一沿線、物件所在地周辺の物件情報などを集めます。
また、国土交通省の土地総合情報システムからも取引価格情報を調べることができます。

比較する項目は、
広さ、間取り、開口部の向き、所在階、最寄駅からの距離、家賃、最寄駅、築年数、設備、総戸数、管理費・修繕積立金、管理形態、分譲会社、工事会社などです。

マンション投資は、17〜25m2ほどのワンルームや1Kタイプが主流です。よって、賃借人は単身者がターゲットになります。1階や洗濯機置場が室外にある物件は、女性に人気がないために賃借人が限定されることもあり物件の価格も安くなりがちです。
賃借人からの家賃収入があって初めて投資として機能し始めます。
同様に最寄駅から徒歩10分以上の物件は極端に賃貸需要が下がりますので、投資対象としては避けた方が無難です。

② 収益還元法

家賃収入をもとに期待利回りから投資金額(物件価格)を算出する方法。

ワンルームの家賃相場が月額8万円で、利回りが年4%の物件があったとします。この物件への投資金額は下記の通りです。

1年間の家賃収入は、8万円 × 12ヶ月 = 96万円
利回り4%で、96万円の収入を得るためには、
96万円 ÷ 4%(0.04)= 2400万円

毎月の管理費と修繕積立金の合計が1万円で、保険や税金などの経費は考慮しないで考えてみます。
家賃の8万円から毎月1万円の支払いがあると、月7万円、年84万円の収入です。
管理費などの支出を考えないで、2400万円で購入したとすると、
84万円 ÷ 2400万円 = 0.035
3.5%の投資商品に2400万円の投資をしたことになります。
少しこの物件での価格を考察します。管理費・修繕積立金の1万円の支払いも考慮しないものとします。

利息4%では満足できないから、7%で投資したいとしたら
2400万円の投資に対して、7%のリターンを求めるので
2400万円 × 7%(0.07)= 168万円(1年間の収入)
168万円 ÷ 12ヶ月 = 14万円(月額家賃)
相場の家賃が8万円のマンションを14万円で借りてくれる入居者を探す

あるいは、8万円の家賃が、7%の利息になるようにするために
8万円 × 12ヶ月 ÷ 7%(0.07)= 1371.4万円(投資金額)
このマンションを約1371万円に値引きしてもらう。

不動産投資の基準を7%としている投資家がこの物件への投資をする時には、14万円の家賃設定をするか、1371万円で購入するかのどちらかになります。

③ 再調達原価法

同じものを建築したらいくらか?
この考えに基づいてます。土地と建物を別に考えます。

まず対象不動産の敷地となっている土地の更地の相場価格を取引事例比較法で算出します。
次に現在の工事価格で同じマンションを新築するために必要な金額を算出します。その算出された新築するための金額から現在の状態までの経年劣化や償却価格を考慮して現在の金額を算出します
そして、別々に算出した土地と建物の金額を足して物件価格を算出する方法です。
この方法で価格を算出して実際の取引の参考にすることはほとんどありません。
こんな算出方法もあるというだけの理解で、マンション投資には十分です。

2.賃料の相場

賃料相場を調べる方法は、上記①の取引事例比較法だけです。
インターネットで検索すると多くの情報が入手できるようになってますので、まずは情報収集してください。
その際に一つだけ注意していただきたいことがあります。それは、インターネット上に公開されている価格は、貸主が望む金額であるということです。実際には貸主・借主の都合で金額交渉が行われていることが多々あります。
成約された物件は、インターネット上から削除されていきます。
よって、インターネットからの情報収集に加えて、対象物件がある最寄り駅周辺の不動産会社へ電話して問い合わせてみることも有効な方法です。

注意したい数字のトリック

  • 1.新築マンションの価格
  • 2.サブリースの恐怖

1.新築マンションの価格

新築マンションの価格は、土地の購入費用+建物の建築費用+事業主の利益で決まります。不動産会社にとっての大事な商品です。企業は、事業を通して利益を追求する団体です。ものを作って、作ったものを販売して、利益が残らなければ、その会社は生きていくことができません。

投資用マンション事業は、1プロジェクトを始めてから完了するまでに、短くても1年はかかります。
仮にマンションの建築期間が10ヶ月とすると、マンション建設用の土地を購入する時に、1年後の投資マンションの市場を予想して土地を購入します。そして、設計して建築の許可を取得して工事を開始します。その10ヶ月後にマンションが竣工した後、マンションの購入者に引き渡して代金の回収ができます。
事業スタートとなる土地を購入する資金を投入してから販売代金を回収できるのは早くても1年後です。

不動産投資の市場相場が、1年前の事業を計画したときの予想通りかその時よりも相場が上がっていたら、マンションの竣工後すぐに賃借人を見つけることができるので、家賃収入もすぐに発生します。この状態でしたら、投資家も安心して売買契約を決裁することができます。
そして、売主の不動産会社は予定通りの販売価格で代金を回収することができるので、利益も確保でき、社員に給料を払い、次の事業を進めることができます。
また、投資家もマンション投資に満足されることでしょう。

しかしながら、マンション市場が突然暴落して賃貸価格も下がってしまったとしたら、上記の収益還元法を参照して欲しいのですが、投資家に当初予定していた価格でマンションを購入してもらうためには、下がってしまった賃貸価格の相場とかけはなれた金額で借りてくれる入居者を探す必要が生じます。
果たしてそのような入居者を見つけることができるのでしょうか?

それとも、作ってしまったから仕方なく、投資家が希望する利回りまでマンション価格を下げて、投げ売りする不動産会社があるのでしょうか?

不動産会社も事業資金の融資を得て、土地を購入し建物を建築しています。マンションを販売したお金で返済する計画です。マンションが売れなくては返済できませんし、値下げし過ぎても返済金が足りなくなります。

資金力のある大手不動産会社は、購入した土地をそのまま持ち続けて、建築を始めないでマンション市場が良くなるまで待つことができます。
売れない!儲からない!とわかっているときに無理して建築資金を使ってまで商品(マンション)を作りません。このようなとき、市場への供給戸数が減少します。

では、資金力のない事業主は?
市場が変化して相場が下がったからといって、事業を先延ばしにすることはできません。融資を受けて事業をしている限り、契約通りに返済する義務があります。そのため販売活動に力を入れているのです。

日本の不動産業界は、新築物件が好まれる新築市場の傾向が強く、売買・賃貸ともに新築プレミアム価格が大きくあります。

欧米のような中古市場とは異なり、新築物件は、近隣相場よりも割高な新築相場のようなものがあります。購入者自らが住むための住居でしたら、近隣相場よりも高い金額を払ってでも誰にも使用されたことのない新築物件を求める気持ちも理解できます。
この新築プレミアムは、1回限りのことで、購入した瞬間、そして誰かが入居した瞬間に無くなり、中古市場の価格となります。

自分で使用するのではなく、入居者からの家賃収入が目的である投資用の場合、この新築プレミアムの割高分は痛い出費だと思います。

2.サブリースの恐怖

投資用マンションを販売する手法に、サブリースというものがあります。
投資家にとって一番の心配事は、賃借人探しとその賃料です。入居者の賃料から、マンションの購入代金のローンの返済をする投資方法です。
入居者を募集している間は、賃貸収入がありませんので、融資の返済や管理費・修繕積立金の支払いは、身銭を切らなければならず、貯蓄を切り崩しても支払うことになります。
この心配事を解消する手法で、投資家が購入したマンションの賃貸借契約を不動産会社と結び、借主となった不動産会社が転貸主となってこのマンションの入居者を探して転貸借するというものです。
投資家にとっては、マンションに入居者がいてもいなくてもサブリース契約をした不動産会社から賃貸借契約の収入があるから安心できます。
この通りなら、絶対利用したほうがいいとなりそうですが、下記2点の重大なリスクがあります。

① 販売するために作られたサブリース

例)月額賃料10万円のサブリース付きの新築マンションを3000万円で紹介された。
金利1.9% 35年(420回払い) 3000万円の提携ローンも可能とのこと。

この数字から、
月額10万円 ⇨ 年間120万円の収入
120万円 ÷ 3000万円 = 0.04(4%)投資利回り4%
毎月のローン返済金額は、97,846円

同じエリアの新築マンションの販売時の利回りは、3.5%が相場らしい。ローンの返済は家賃収入の金額以下だし、管理費と修繕積立金の支払いだけで、この新築マンションが買えると説明されたので3000万円の融資を得て購入し、サブリース会社とも契約した。

半年後、サブリース会社が倒産した。それまでは毎月10万円の振り込みがありこれまでに60万円の入金があったが、ローンの返済と管理費等の支払いで1円も残っていない。

サブリース会社の調査をしたら売主の不動産会社の関連(取引)会社だった。売主に相談したら所有権の移転登記も完了しているし、倒産したサブリース会社のことはよく知らないし、一切関係ないと言われた。

購入したマンションの相場は、2400万円位で、家賃は7万円でした。
サブリース会社は、賃料10万円で入居者を募集していて、倒産するまで空室のままだったそうです。

別の不動産会社のお世話になり、月額7万円で入居者を見つけてもらい賃貸しているが、ローンの返済や管理費等で毎月5万円近くの赤字になります。

売却して手放すことも検討しましたが、築浅とはいえ中古物件になるので、利回りが、4〜4.5%が売却するときの相場です。
7万円 × 12ヶ月 = 84万円
84万円 ÷(4〜4.5%)= 2100万円〜1866万円

今売却すると、2100万円でしか売れないので、単純に計算すると、半年で900万円の損を確定させることになります。

全ての会社がこのような手法を使っているわけではありませんが、相場価格を把握していないと数字のトリックで大きな損失を被ることがあります。

② 立退交渉が難しい

一度賃貸借契約を締結してしまうと、家主(投資家)からの賃貸借契約の解除および入居者の立退は非常に難しくなります。
基本的には、入居者保護の傾向が強く、訴えを起こしても判決までに時間がかかるだけです。
立退が認められる一つの目安は、3ヶ月連続の家賃全額の滞納です。途中で、1万円でも支払われると支払う意思があるとみなされることが多く、立ち退かせることが難しくなります。
これは、賃借人と直接契約しても、サブリース会社と契約しても同じことです。入居者との間にサブリース会社が入ることで、一層複雑になりますので、シンプルにしておくほうが、賢い選択といえそうです。

マンション投資の仕組み

  • レバレッジを効かすことが(融資を受けて他人のお金で購入)できる
  • 入居者の賃料(他人のお金)でローンを返済
  • ローンが完済したら大きな資産になる
  • 所有している間は家賃収入(インカムゲイン)で資産を増やしながら、売却した時の利益(キャピタルゲイン)を狙う
  • 入居者付きのオーナーチェンジ物件は、見せる数字(高利回り)を作ることができる

成功のポイント

● 購入価格は、中古市場の相場価格が上限。新築プレミアム(中古相場との差額)金額は、売主への寄付金だと割り切る。自己満足のための代金だと思って支払うことができないのなら、初めから新築物件は検討しない。

● マンションの購入価格の全額(マンション売買金額と諸費用の合計)を目標にして、長期の返済期間(35年)で融資を使う。

● 賃料相場が毎月のローンの返済金額より高い場所を狙い、返済額より高い賃料で契約できて、滞納や遅れがないことが理想の投資。

● 入居者の交代がスムーズに決まり、空室が長期間続くことがない。

● マンションは管理を買え。と言われるほど管理状態が重要です。売却もすぐに決まる人気物件に投資するために、マンション全体の維持管理が良く、駅近の住環境の良い立地の物件を選ぶようにする。

まとめ

〇 マンション投資は、購入時の契約金額で成功か失敗が決まるので、物件相場以下の金額で購入する。

〇 パンフレット上の投資利回りをそのまま信用しないで、自分自身で相場を調べて購入する。

〇 家賃保証(サブリース)契約はしない。

〇 長期の融資を利用する。

〇 短期で売って儲かる投資ではないことを理解する。

〇 小さく始めて、大きく育てる。

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