土地の境界確認の立ち会いを求められることがあります。境界確定を依頼する側の土地所有者にとっては、売却や相続、資産管理と何かしらの理由があります。ただし、それは境界確定を依頼した側の一方的な理由であり、境界確認の立会を求められた側にとっては、たまたま土地が隣接していたということにしかすぎません。なんでわざわざ時間を作ってまで協力しなければならないの、と不快に思う方もいらっしゃると思います。ましてや、何の事前の挨拶もなく、突然呼び出されて、「ここが境界です。この境界確認書にハンコをお願いします!」と来られた時には、『本当に大丈夫か~??』と不安になるのも当然かと思います。
境界確定測量の依頼を請けた土地家屋調査士の業務の進め方に問題があることも大きな不安の原因ですが、実際に土地の面積が小さくなったかどうかを確認できれば不安も解消されることでしょう。
土地の広さを確認する
測量をした人の業務態度や人間性は別にして、測量や調査自体は正確に行われたのか?それを確認することが重要です。
「ここが境界だという根拠を説明してください。それと、当方の土地の面積はどうなるのですか?」とストレートに質問して大丈夫です。境界確定の業務の依頼を請けた土地は当然ですが、当該地に隣接している土地の資料も当然に調査しています。法務局にある登記資料から区役所や土木事務所などにある資料もすべて調査をして、現地の測量を行っているはずです。
隣接地の隣地すべてを立会確認するわけではないので、正確な面積を答えてもらえることはありませんが、このぐらいになるだろうと想定することはできますし、隣接している境界線の長さは正確に回答できます。
その答えと登記簿や地積測量図(もしあれば)、道路境界図面などと比べて近似値であれば安心できると思います。また、若干差異が大きいと感じるときには、『なぜ?』と根拠を伺ってみてください。ここでも、説明に納得できれば、測量は正確に行われたのだろうと安心できると思います。
また、地積測量図や登記事項証明書(登記簿)は管轄の法務局へ行けば、誰でも取得できます(取得の仕方が分からなくても窓口の方が丁寧に教えてくれます)ので、ご自身で法務局へ行くことも、いい勉強になると思います。
測量にはお金がかかる
境界確定の作業は、時間とお金がかかります。隣接土地所有者が境界確定測量を行うときにはできる限り協力してください。あなたの土地との境界線は、あなたの土地の1辺かもしれませんが、その費用は隣地の方のご負担です。極端な話ですが、あなたの周りの隣接地が全部、境界確定を行うことになったら、あなたの土地は結果的に無料で境界確定が出来ることになるからです。
または、後日あなたの土地の境界確定が必要になったときには、隣地の境界確定に協力した時の境界確認書が大いに役に立つことになりますし、境界確認書があることで作業時間と費用も抑えることができます。
何よりも境界トラブル防止の重要書類であることは間違いありません。
論外な事例
不安が的中する確率は、ほぼゼロです。ですが、残念な事例が起きていることも事実です。
- 万年塀の外側が境界線だ!と言い張られて、新しいブロック塀を境界線のセンターに作られた
- 土地の所有権の名義人は遠方にいることが分かっているのに、そちらには直接連絡をしないで、執拗に代筆をしろと迫られた
- 夜間の就寝中に境界標を勝手に設置して、翌日、「ここが境界です」と説明された
これらは、作り話でもなく現実にあったことで、土地の広さが小さくなった・ならない以前に、犯罪行為だと思います。そんな時には、躊躇せずに法務局と土地家屋調査士会へご相談してください。後日のために、説明に来た土地家屋調査士の名刺を必ず貰うようにしてください。名刺がないと言われたときには、氏名と所属している土地家屋調査士会の都道府県名だけは聞いて控えておいてください(被害にあった時の心強い相談先になります)。
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