相続対策の分筆登記

登記

土地の分筆登記の相談が多い。境界についての関心はあまりない。登記簿に記録されている面積が実際の土地の面積だと信じているからだ。

「うちは子供が二人なので、相続で揉めないように土地を2つに分けておこうと思うのですが、、、」

相続に備えた土地の分筆

登記簿と実際の土地の面積を確認する

土地を分ける(分筆登記をする)ための手順は以下の通り。

  1. 土地の境界が確定していることを確認する
  2. 未確定の境界は復元して確定させる
  3. 確定測量した面積と登記簿に記録されている面積を比較する
  4. 面積の誤差が許容範囲内であれば分筆登記ができる
  5. 面積の誤差が許容範囲を超えているときは、まず誤差を正す(地積更正登記)
  6. 誤差が解消されたら分筆登記ができる

もう少し詳しく説明します。

※不動産の表題部の登記申請は、本人か土地家屋調査士の専属業務です。実際の測量や図面作成、登記申請の作業は、下記のような流れで土地家屋調査士が行うことが多い。

土地の境界が確定していることを確認する

分筆したい土地の地積測量図が、法務局に在るか調べる。あったらその地積測量図の写しを入手する。

ないときには、登記申請をしていないだけで過去に境界確定測量を行ったことがないか祖父母や親に聞いてみたり金庫などに重要書類として保管していないかを調べてみる(権利書などと一緒に保管されていることが多い)。

図面の通りに境界杭(大理石やコンクリート杭、鉄鋲、金属プレートなど)があるか、現地を掘削して探す。曲がり点の場所の境界杭は全て探し出すようにする。盛り土されている土地では、1m以上掘ってみないとわかりません。掘り続けて見つけ出すことができたときの喜びはとっても嬉しいものです。

未確定の境界を復元する

境界杭が紛失してしまっている曲がり個所は、隣接土地所有者との確認が出来ません。境界点を確定することもできません。確認できない境界点がある土地は、面積の確定もできません。

「境界点は動かない固定点」という大原則があります。

境界杭が紛失して見つけることができない境界点は、復元することになります。境界は動かないという考え方なので、役所の資料や隣接土地所有者がお持ちの資料、古い図面などの資料を基に正しい境界点を導き出し、その境界点に接する全ての土地所有者と、現地で立会確認した後、新しく境界杭を設置します。

昔はあったであろう境界杭と同じ場所に境界杭を設置し直す行為なので、復元という言葉を使います。

土地の面積を比較する

全ての境界杭の復元が出来て初めて正確な面積を測量して確認することができます。

さて、「縄伸び」「縄縮み」という言葉を聞いたことがあるという方も多いと思います。土地の所有者が年貢や税金は少ないほうが良いと考えるのは当然のことです。

現在は、技術の進歩のおかげでミリ単位以下の精度まで計測できる機械を使って測量できるようになりました。ただし、機械を使う人間の精度はというと、機械を使用する人による誤差は必ず発生します。といっても、ミリ単位の誤差です。

  • では、昔の測量はというと、縄を使って測っていました。
  • 少し想像してください。10mの縄がありました。1mごとの大きな印とより細かい印がついているとします。A点とB点の2つの境界があり、その距離は10mです。ちょうど10mの縄一本分です。縄の両端が付く距離です。
  • 次に、縄の一端をA点に固定して、その縄を力強く引っ張りながらB点に当てたらどうなりますか?
  • おそらく9m位の印のところに当たるのではないでしょうか?!
  • 正確には10mある距離が、9mになってしまいました。

昔の土地台帳に記録されていた面積が登記簿のもとになっているので、昔の記録のまま測量されたことのない土地を新しく測量すると、登記簿の面積よりも大きくなることが多々あります。

この面積の差が法律の定める許容範囲を超える場合は、登記簿に記録されている面積を実際の面積に直す必要があります。これが『地積更正登記』です。

分筆登記を申請する

上記、地積更正登記を申請した土地は、実際の面積と登記簿の記録が一致しました。さらに、全ての境界についても隣接土地所有者との立会確認が異議なく無事に了解を得られた証とみなされます。

ここまでしてやっと、対象の所有地の境界が確定していて面積も正確だと認められることになりました。この後は、一人の所有者が持つ単独所有土地も複数の所有者がいる共有地でも、所有者(共有地のときは全員)の意思で、自由に分割することができます。

冒頭の二人の子供のために相続前に、縦でも横でも所有者の分割したいように線引きして分けることが可能になります。

以前は、一筆の土地のうち切り取りたい一部だけを測量して境界確認することで分筆登記を申請することが認められていました(残地分筆といわれてます)が、現行法ではできなくなりました。

  • 相続のための分筆登記だけでなく、
  • 土地の一部を売却したい
  • 一筆では大きすぎるから数筆に分けて売却しやすくしたい
  • 既存の建物の敷地ごとに分筆して整理したいなど

様々な理由で分筆登記が申請されています。

如何なる目的理由を問わず、分筆するためには境界確定が前提になります。相続で揉めてしまうと土地の分筆登記をするための権利者全員の同意を得ることが出来ず、売ってお金に換えて分けることしかできない。ということにもなりかねません。

相続なんてまだ先の話だからと先延ばしするのではなく、元気で健康なうちに境界確定測量、もう少し頑張れるようでしたら、地積更正登記までしておくメリットをお考え下さい。

『備えあれば患いなし』

ご相談のお申し込みはMOSHもご利用できます

介護のお困りごとは、いつでもどこからでもLINEで無料相談

コメント

タイトルとURLをコピーしました