公園など公有地拡大の土地譲渡で損をしないために

登記
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分筆登記が完了したので、依頼者に成果を納品し、譲渡を受ける地方公共団体へ報告してきました。今後の手続きは、土地所有者と譲渡を受ける団体とが直接やり取りを行うので、私たち土地家屋調査士の業務はここまで。

都市計画法の道路拡幅事業と異なり、公拡法(公有地の拡大の推進に関する法律)に基づく土地の譲渡は耳慣れない言葉だと思います。大地主でもない限り、全く無関係の方が大多数だと思います。

それでも一部の方々にとっては、公拡法の適用が受けられるか否かによって、譲渡後の税金の優遇措置が受けられるかどうかに関わってきますのでとても重要なことです。

公有地の拡大の推進に関する法律とは

 公有地の拡大の推進に関する法律(以下「公拡法」という。)は、都市の健全な発展と秩序ある整備を促進するため必要な土地の先買いに関する制度の整備、地方公共団体に代わって土地の先行取得を行うこと等を目的とする土地開発公社の創設その他の措置を講じることにより、公有地の拡大の計画的な推進を図り、もって地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に資することを目的としています。(公拡法第1条)
 なお、公拡法は、国土交通省と総務省の共管の法律で、第二章「都市計画区域内の土地等の先買い」は国土交通省が、第三章「土地開発公社」は総務省が、それぞれ担当しています。

国土交通省のホームページより引用

公拡法による先買い土地の事例はこちら

都市計画法による道路拡幅事業と大きく異なる

都市計画道路が事業決定し、用地買収が始まると道路用地として買収する部分の測量と分筆登記が必要になりますが、この測量と登記にかかる費用は全額事業主の負担が原則です。ですが、開発行為による公共用地(道路・公園など)の寄付と異なり、譲渡する土地は有償の売買契約になります。

測量費用は売主(譲渡人)負担

地方公共団体等への譲渡の協議が整ったら、譲渡部分の面積を確定することになります。この面積を確定するために境界確定測量が必要になります。この測量費用は売主の負担となります。そして売主が測量する土地家屋調査士を選任することになるのですが、確定測量後、地方公共団体等が買収する部分を分筆する必要がある場合には、その分筆登記は地方公共団体等が嘱託登記で行いますと申し出てくれます。

嘱託登記でも登記申請書類作成は、売主が選任した土地家屋調査士が作成します。

この書類作成費用までが売主の費用負担!

不動産登記法 第十六条 登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。 当事者が官庁または公署である場合の登記の手続きを嘱託登記(しょくたくとうき)というわけです。 国や地方公共団体が行う公共工事などで、用地の登記が必要なときなどに行われます。

「嘱託登記」をGoogle検索

嘱託登記よりも当事者が申請した方が得な場合が多い

公拡法のように、当事者からの買取依頼により確定測量が必要になり、分筆登記まで申請することになった場合、嘱託登記を利用することなく当事者の選任した土地家屋調査士に登記申請まで依頼することをお勧めします。その理由は以下の通りです。

  • 嘱託登記では、現地をよく知る土地家屋調査士と法務局の間に官という第三者の存在が出来てしまい法務局からの補正や質問に的確に回答することが出来ない
  • 直接話が出来ない状態では伝言ゲームのように真意が伝わり辛く、余計な作業や手間が増えてしまう
  • 余計な手間や作業が増えた分、買取を依頼した当事者の費用負担が増えてしまう
  • 登記書類の作成まで完了すると、嘱託登記と当事者からの登記申請の費用の差は、分筆登記に必要な印紙代(2筆に分筆する場合、2,000円)のみ

余計な手間や作業を省いて、スピーディーに登記まで完了させることで、結果的に測量登記費用が抑えられることになります。

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