数次相続を止める唯一の方法

登記

突然、父の訃報の連絡。母は既に亡くなっているため、一人息子のM氏は葬儀の手配や亡くなった後の諸手続きをするために実家に戻りました。49日の法事も終わり、少し落ち着きました。

叔父も叔母も亡くなっていたために甥からの連絡でした。みんなそれぞれの生活を確立されています。今後誰も実家に住む予定もなく、空き家にしておくのも管理が大変だから売却しようと思いました。不動産会社に相談したら、相続登記がされていないことが発覚しました。土地・建物共に祖父の名義のままです。この不動産を売却するにはどうしたらいいのでしょうか?

回答はシンプルですが、実際の手続きは困難になるかもしれません。

相続登記を完了する

一人息子のMさんは相続人は自分一人だと思っていたようです。祖父母が亡くなったときに父の名義に相続登記がされていたら、祖父母と母を亡くしているMさんが、ただ一人、亡くなった父の相続人になるはずでした。相続人がMさん一人なら不動産を自由に売却することが出来ました。

しかしながら、祖父名義の不動産を売却するためにはその不動産の相続手続きをする必要があり、祖父が亡くなったときの相続人調査から父が亡くなった後の現在までの相続関係を調査しなければならなくなります。

相続人が判明したら、相続人全員が同意した遺産分割協議書を作成し全員が署名押印してから相続登記を申請することになります。

戸籍調査

父が亡くなっての相続ですが、不動産の登記名義人が祖父になっているので、祖父の家系図調査から始めて現在の家系図の作成ができるところまで調査をする必要があります。相続人の漏れが起きないようにするため相続人の出生から死亡時までの住所の調査も必要になります。

Mさんの父の兄弟姉妹、そして父が亡くなる前に亡くなっている父の兄弟姉妹の有無、その子供たち(甥・姪)までは代襲相続する権利があるから調査だけでも大変です。関係者全員の所在まで判明出来たら終わりではなく、相続人全員が同意した遺産分割協議書への署名捺印が必要になります。

遺産分割協議書

遺産分割協議書は相続人全員の署名捺印が必要です。すなわち、相続人全員の同意が前提になります。相続関係人の所在まで判明するには、時間も労力も掛かります。それから内容の調整をするのですから簡単ではありません。

協議に時間が掛かれば、相続人のケガや病気、結婚、新たな相続が発生することも考えられます。そのたびに、相続人にはならなくても配偶者など相続に関係する人の数は増えていくことになります。権利はなくても口は出します。お金の嫌いな人は少ないと思いますし、関係性が薄くなるほど財産を放棄する人も少なくなるような気がします。

相続で人が増えて良くなることは何もありません

相続で損をしないようにするには

人の死に関わることです。気持ちの整理がつくまでは何もできなくて当然です。何もしたくない気持ちも分かります。

うちは大した資産もないから、基礎控除で相続税も発生しないからゆっくりそのうちで大丈夫!というご家庭ほど注意してください。

1000万円にも満たない小さな家しかありません」

こんな考えの方が一番危険です。相続税の納税義務がないから放置したままにしていたら2次相続が起きてしまった。相続人も増えてしまうことでしょう。誰かの入れ知恵で生活費が欲しいから現金を要求してくる人が出てくるかもしれません。まだ住んでいる家を売ろうと言い出す人が出ることもあります。

1000万円もする家を残してくれたんですよ!1000万円をためることが出来ますか?大切な財産を残すためには速やかに相続をするしかありません。人が亡くなると通夜に葬儀、役所への届け出から各種名義変更などの手続きと49日の法事まではとても忙しくなります。ゆっくり故人を偲ぶこともできないほどです。

心を鬼にして言います!

葬儀が終わったら相続のご相談を司法書士や税理士などの専門家へ打診して置いてください。

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