不動産調査の基本は公図の確認から始める
土地の取引における公図の重要性とは?
土地の取引において公図(正確には、「地図に準ずる図面」という)はとても重要な図面です。ここでは、不動産登記法の定義ではなく、実務での大切な役割についてまとめていきます。
一番の目的は、位置の特定
土地は一筆ごとに特定の番号(地番)が付され、その地番ごとに登記記録が作成されて管理されています。
登記記録の内容と見方については、別の記事でまとめてありますのでご参照ください。
登記記録から所有者と担保などの権利関係を確認することは、購入したり借りたりした後も安全に安心して使い続けることができるかを判断するために必要です。
しかし、土地の登記記録に記載されている物件詳細からは広さと用途がわかるだけで、その形や位置、隣地との接面状況までは分かりません。
実際に土地を利用するときには、全体の大きさとその形状が重要です。
極端に押し潰れた長方形では、建物が建たないかもしれません。
細い通路上の先が広がった旗状の土地だと商売には適さないかもしれません。
目的達成の判断基準
また、隣接土地との接地状況や位置は、公図と同じですか?
形状が異なるようなら、境界の越境や不法占有が起きていないか?
隣地との境界に間違いや争いはないのか?
そもそも、境界は確定しているのか?
隣地の所有者は誰なのか?
土地の位置と地番が分かれば、登記記録から調べることができます。
公図があれば、隣接関係者(隣接土地所有者)を特定することができます。
公図と現地を見比べることで、土地の利用目的が達成できるかどうかの判断もできます。
問題回避
公図から土地の正確な広さや幅を算出することはできません。
しかし、各土地の形状、隣接状態や位置、線の方向、曲がりの点については正確に反映されていると考えられています。
公図と現地を比較し、隣接状況を確認することで、目的とする利用形態や建物の建築の可否がわかるので購入や賃借の判断基準になりますし、境界越境など隣接所有者とのトラブルも事前に把握できます。
このように、公図は不動産の調査において大変重要な図面になります。
公図の見方
各一筆毎の土地には地番がついています。その番号を基に図面上で、その位置、隣接状況、大きさや形状を確認します。
当初からの道路や水路などは無地番地と呼ばれ、地番がついてなく、登記簿(登記記録)もありません。無知番地は、国など(官)が所有しています。
いまの公図は、明治時代に作られた図面(旧公図と呼ばれています)を手作業で転写してきたものです。初めの旧公図は、和紙に墨で書かれていました。この図面は、赤色と青色も使われています。道路部分(里道)が赤く塗られ、河川や水路だったところは青く塗られています。それぞれ、赤道(あかみち)と青道(あおみち)と呼ばれることもあります。現在の公図には色は使われていませんが、それぞれ、「道」と「水」と表示されています。
境界の紛争などで、それぞれの土地の筆界が確定できずに筆界未定の扱いになっているところは、複数の地番がプラス記号で一括りに記載されていることがあります(1-1+1-3+1-4+1-5+1-20)。
旧公図が保管されている間に劣化や折り目の破損などの他にも、人が作業することでの転写ミスもありますので、小さくて繋がりがないなど不自然に地番の記載のない区画や同じ地番があるようでしたら法務局の窓口で確認して見ましょう。
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