建物調査、測量技術、境界説明、不明者追跡、図面作成。土地家屋調査士も人それぞれ得意としていることは異なります。もちろん試験に合格できたのだから一通りのことは熟せます。ちなみに私の最も得意とするところは、不明者追跡と境界説明、そしてプロジェクトの工程管理です。人の感情が反映されるところに仕事の楽しさを感じます。
5年、10年と経験を積んだ結果が得意分野の違いです。大手土地家屋調査士事務所にお勤めの方で建物調査を専門に担当してきたり、ハウスメーカーと強いパイプをお持ちの先生は建物調査に優れていてデザイン住宅のような複雑に凝った造りの建物の図面を難なく作成することが出来ます。また、不動産仲介会社からの紹介が多い先生は、土地の境界確定測量が得意だったりします。
各種法律との関係性を総合的に想像できる能力が必要
建物調査・図面作成・表題登記が得意であれば、固定資産税の評価方法や時期によって税金が異なることを知っている必要があります。計算方法や手続きの詳細までは知らないとしても、税理士に確認することをお客様にご提案することは忘れてはならないと思います。
土地の境界確定が得意ならば、隣地とのトラブルがあったときの対処法のアドバイスができるだけの能力や知識を持っていなければ、ご依頼者の目的を達成することが困難になります。特に土地境界を確定するためには、対人関係を伴うためコミュニケーション能力を高める努力は必須です。
隣地所有者が不明なときの追跡方法や相続人が多数いる場合のまとめ方など、一つのアプローチ方法だけで解決できないことも多々あります。受難な思考で、役所や登記官との交渉力も時には必要になります。
土地家屋調査士の選び方
相性
何よりも重要だと思います。特に土地の測量から始めた場合、建物の建築、登記、その後の土地の保全や境界管理、相続対策と、相談内容や業務内容は多岐に渡るためお付き合いも長くなります。業務ごとに都度、土地家屋調査士を変更するオーナー様もいらっしゃいますが…
お客様のご状況を把握するにはそれなりの時間も掛かります。特に家族構成によってご提案内容や相続対策の方法も大きく異なります。都度、土地家屋調査士を変更しているならば、都度、同じことを説明することになります。
相性が悪い、一緒にいると疲れると感じるようでしたら、すぐにほかの土地家屋調査士を探すようにしてください。片方が我慢しているとしたら、相手方も全く同じ気持ちを抱いている可能性が高いです。嫌いなもの同士が一緒に同じ方向に進んでも、良いことは何もありません。そして、そんな関係性で最善の方法を見つけることなどできるはずもなく、お互いにとって時間の無駄になるだけではなく、ストレスが溜まるだけで、最悪の対策をしてしまうかもしれません。
土地家屋調査士探しが難しいと感じていらっしゃるようでしたら、下記サイトをご参照ください。
日本土地家屋調査士会連合会(全国) 【土地家屋調査士の相談する】
神奈川県土地家屋調査士会(神奈川県) 【近くの土地家屋調査士を検索】
経験
紹介された土地家屋調査士だから依頼しなければならないということではありません。あくまでも発注者はお客様ご自身で、費用をご負担されるのもお客様です。そして、仕事の結果に満足できなかったとしても、その結果のなかで生活していかれるのもお客様です。
銀行やハウスメーカーの紹介だから安心して大丈夫!というわけではありません。発注前に必ずご面談してください。お会いしても話すことがないなら、紹介された土地家屋調査士の得意分野を尋ねてもいいです。また、どのような経緯で銀行やハウスメーカーと繋がったのかも聞いてみてください。
あるいは、お客様ご自身の夢をお伝えしてもよろしいかと思います。
最後に
全ての最終的な責任は、お客様自身が負うことになります。お客様同様、土地家屋調査士も感情があります。信頼できる関係性を築くには時間が掛かりますが、壊れるのは一瞬です。
折角、良好な関係性が作れているのでしたらその関係を大切にしてください。
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