不動産投資の最たる利点
数ある投資の中でも他人のお金を使う方法が確立されている代表的な手法、それが賃貸不動産投資。
- 「株を始めるからお金を貸してください」
- 「金(ゴールド)を買うから、お金貸して」
- 「この絵は絶対に値上がりすると思うから私に融資して」
- 「FXのための資金が足りなくなりそうなんでお金を借りに来ました」
- 「今月末からラスベガスに行って勝負してくるからその元手を貸してください」
こんな理由でお金が借りることができますか?
「この物件を買いたいのでお金を貸していただけませんか?」が通じる不動産投資。融資を利用することで自己資金の何倍、何十倍、ときには1円も負担することなく、○千万円、○億円もの不動産投資が可能になります。それでは、この他人のお金を使った不動産投資のからくりについて書いてみようと思います。
投資利回り
どれだけお金が増えるか(利益)を表した数値。来週返すから1000円貸してと言われて、1000円返してもらっても投資とは言わないですよね。でも一年前に、来年必ず返すから今週中に30万円貸してくださいと言われて貸したら、33万円返してもらったとしたら3万円の利益があったことになります。立派な投資と言えないですか?このように、使った金額に対して、1年間に増えた金額の割合を表した率(%)を利回りと呼んだりします。
例えば、利息が1%と約束された定期預金に100万円を2年間預けると、2年後に解約したら102万円になります。これを1年間で考えると増えた分(利益)は1万円です。100万円に対する1万円は、1万円÷100万円×100%で、1%の利回りとなります。
グロス(表面)利回り
購入する投資商品の金額と、1年間に増える金額(利益)の割合。その他に必要なお金は一切考慮しないで計算された数値。
銀行の定期預金のように預けっぱなしで、預けている期間中に保持したり管理したりする経費がかからないものは計算しやすい。しかしながら不動産の場合、維持管理の経費や購入する時に不動産会社へ支払う仲介手数料などの金銭負担があるので、それらの支出を無視して計算した増加の割合をグロス利回りと呼ぶ。
- 外国債500万円を購入、1年後に525万円で売却した場合
- 増えた金額(利益)は、25万円
- 購入した商品の金額は、500万円
- 利回りは、5%(25万円÷500万円×100%)
- 中古の分譲マンション1戸を1800万円で購入、家賃月額15万円で賃貸中の場合
- 増えた金額(利益)は、180万円(15万円×12ヶ月)
- 購入した商品の金額は、1800万円
- 利回りは、10%(180万円÷1800万円×100%)
ネット(実効)利回り
購入する投資商品の金額と1年間に増える金額(利益)、そして、運用している(所有している)期間にかかる固定費(維持管理費、固定資産税など)を考慮した利率。不動産仲介手数料や、ローン借入の利息や事務手数料など発生するかしないか不確定要素の高い支出は経費として算入しないことが多い。
- 上記中古の分譲マンションに維持管理費を考慮して計算する。購入価格、1800万円。家賃15万円、固定費(維持管理費、固定資産税、都市計画税)年間18万円とする
- 1年間の収入(家賃)は、180万円(15万円×12ヶ月)
- 1年間の支出(固定費)は、18万円
- 購入した商品の金額は、1800万円
- 利回りは、9% {(180万円−18万円)÷1800万円}
レバレッジ効果
レバレッジ(leverage)とは、直訳すると「てこ」または「てこの原理」のことです。投資をする際に自己資金とは別に融資を受けるなど他人の資金を調達することで、取引額を大きく引き上げることです。てこの原理を応用するば、小さい力でも大きなものを動かすことができます(少ない自己資金で大きな買い物をするということ)。
エクイティ(equity)とは、返済義務のない資本のこと。自己資金だと理解しておきましょう。
レバレッジの威力
レバレッジ効果を説明するために、先の1800万円の中古マンションで考えてみることにします。この不動産を購入するにあたり、融資が受けられるとします。ローンの諸条件、そして、購入時の諸費用は下記の通りとします。
- マンション価格:1800万円
- 家賃収入:月額15万円(年間収入180万円)
- 維持管理費(固定資産・都市計画税、管理費等):年間18万円
- 購入費用(仲介手数料、不動産取得税、登記費用等):200万円
- ローン条件:借入金額1800万円、利率3%、25年返済(年間返済額102.5万円)
自己資金が2000万円あるとします。
このマンションを購入するためには、物件価格1800万円と購入時諸費用の200万円の合計金額2000万円が必要です。
- 融資を受けないで全額自己資金だと、1戸購入することができます
- ローン(1800万円他人の資本)を利用すると、200万円の自己資金で購入できるから、理論上10戸まで購入できます
エクイティ利回り
エクイティ利回りとは投資した自己資金に対しての利益の率とは先の説明の通りです。上記の例でレバレッジが全くない1とレバレッジを最大限に聞かせることができた2を比べてみます。
- 1 自己資金(エクイティ)2000万円、年間収入162万円(家賃180万円−維持費18万円)
- 8.1%(162万円÷2000万円×100%)
- 2 自己資金(エクイティ)200万円、ローン(他人資本)1800万円、
- 年間収入59.5万円(家賃180万円−維持費18万円−ローン返済額102.5万円)
- 29.75%(59.5万円÷200万円×100%)
投資効果(リターン)
レバレッジを効かせることで投資効果が飛躍的に向上することが理解できたと思います。上記例のレバレッジの有無の差がどれほど大きくなるか、数字で見てみることにします。
利益
賃貸不動産投資の特徴は、所有している間の家賃収入(インカムゲイン)と譲渡して値上がりした時に生じる売却益(キャピタルゲイン)が見込めることです。
インカムゲイン
- 1 2000万円の投資金額に対して、利回り⒏1%、年間162万円の家賃収入が見込めます。
- 2 200万円から2000万円までの投資が選択でき、利回り29.75%で投資すると、
- 年間59.5万円から595万円の家賃収入が見込めることになります。
- ※1はレバレッジなし、2はレバレッジを効かせた投資例です。
- 空室リスクは考えないこととします。
キャピタルゲイン
5年間所有、売却価格2000万円、売却費用80万円、ローン残債額1540万円とします。また2のケースは、2Aが1戸投資、2Bが5戸投資、2Cを10戸投資とします。
- 1 売却価格−売却費用−購入自己資金−購入時諸費用
- (2000万円−80万円−1800万円−200万円)80万円の赤字
- 5年間の家賃収入(162万円×5年)810万円
- 2000万円を5年間投資した結果、730万円(810万円−80万円)の利益。 2730万円
- 2A 売却価格−売却費用−購入自己資金−購入時諸費用−ローン残債額
- (2000万円−80万円−200万円−200万円−1540万円)20万円の赤字
- 5年間の家賃収入(59.5万円×5年)297.5万円
- 200万円を5年間投資した結果、277.5万円(297.5万円−20万円)の利益。 2277.5万円
- 2B 2Aの5倍、1000万円を5年間投資した結果、1387.5万円の利益。 3387.5万円
- 2C 2Aの10倍、2000万円を5年間投資した結果、2775万円の利益。 4775万円
- ※各1〜2Cのケースの最後の数字は、当初2000万円が5年間の投資で得た利益を合算した税引き前の金額です。
まとめ
レバレッジを効かすことができる賃貸不動産投資は、融資金額を大きく返済期間を長くすることで自己資金の投資金額を少なく抑えることができ、投資効率が良くなります。以下、賃貸不動産投資の特徴です。
- 基本は転売···安く買って高く売る
- 雪だるまとレバレッジ···小さく始めて繰り返す
- 中古がおすすめ
- 早く始めて年金対策
- 生命保険の代わりにも
- 不労所得の代表格
- 他の事業がやりやすい
- 確定(売却)時期を自分で決められる
メリット
一番のメリットは、株や債券のようにゼロ(無)にならないことです。また、ここで説明してきたように少ない自己資金でもレバレッジを効かすことで大きなリターを期待することもできます。そして、不動産は現物資産なので、物件価格や賃貸料が経済状況に連動しているためインフレのリスクに強いと言われています。
デメリット
一番のデメリットは、流動性の低さです。急に現金が必要になったからといって、すぐに相場なら売却できるというものではありません。契約してから決済までに1月掛かることは普通です。また、売り急ぐとどうしても安くなってしまうことは否めません。不動産投資1本にするのではなく、咄嗟の有事に備えた現金も残しておくような分散投資をするようにしてください。そして、インフレに強いということは、デフレには弱いということなので経済が回復するまで持ち続けられるようにしておくことも重要です。
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