不動産業は究極の転売ビジネス

不動産

転売の基本は、安く買って高く売る。商品を販売して利益を得るビジネスは全て仕入れで決まるといっても過言ではありません。不動産業も同じです。

マンション開発、戸建分譲、アパート、賃貸マンション、空き家再生、民泊、J-REAT、中古マンション販売、などなど。広大な土地を買って造成し、マンションや1戸建て住宅を建築する開発事業は、工事費の予算変動幅が少ない分、開発用地を仕入れた時に事業の成否が決まるといわれています。賃貸不動産やJ-REATは、家賃とのバランスが重要になります。中古マンションや土地の転売は説明の必要もないと思います。

これから増えることが予想される空き家再生を例に事業サイクルを見てみることにします。

1 仕入れ(購入)

この仕入れ価格が始まりで最も大事になります。この価格に工事費や調査費など諸々の費用が加算され、テナントに貸すことができ、家賃も滞ることなく回収できて、第三者へ売却できるようになりました。それまでの費用の総合計が原価になります。

築50年の中古住宅が売りに出ていました。使われなくなって10年ぐらい経っているそうです。部屋には大量の残置物があり、天井を見ると雨漏りもしているようです。家の大きさは70平米の平家で土地は40坪もあるのですが、道路から階段で上がってくる駐車場のない物件です。電車の駅は近くにはなく生活に車は必須のエリアです。同じエリアには新築の建売住宅が3,000万円ほどで販売されています。この物件が1,200万円で売り出されたのですが、購入した方が良いでしょうか?

また別に、30坪の住宅地の相場が1,000万円のところで、30坪の法地(斜面地)がありました。この法地を平坦な住宅地にするためには、擁壁工事に800〜1,000万円必要です。この法地の所有者が、10万円で譲ってくれるといっています。ビジネス目的のあなたは購入しますか?

ビジネスである以上、利益を追求することが目的です。10万円で譲ってもらえたとしても、買う時と売るときに手数料が必要です。購入したことで税金もかかります。売却するまでの金利も発生します。工事が800万円で出来たとしても、全ての経費を足したら1,000万円を超えてしまうでしょう。急に景気が良くなってインフレになり1,000万円以上で売却できればいいですが、そんなことは期待できないでしょう。この法地は、タダでも貰ってはいけない土地です。

このように、ビジネス目的である以上、無料でも受け取れない不動産はあります。正常に使えるようにするための費用は予想できます。この費用に購入する金額(仕入れ価格)を足しても、売却できる相場価格よりも低くなるようにしなければなりません。仕入れした金額で、事業の成否が決まってしまうことがご理解いただけたと思います。

2 整理(権利調整)

商品である以上、売る時までに瑕疵や問題のない状態にしなければなりません。まず目に見えない権利の問題や瑕疵について考えてみます。

境界不明や越境の解消。私道の場合は通行承諾、掘削承諾の取得。消滅することができる通行など地役権の解消。農地法の届出、抵当権の抹消、滅失登記漏れ。不法占拠などの立退作業。等々、一見しただけでは分からないことも調査して見つけ出して解決する必要があります。

ほかにも、過去に事故があった場合の対処法も必要になります。このような見えない問題解決は費用を見積ることが難しい。どうしても予算を大きく確保することになってしまい仕入れが厳しくなってしまいます。

見積ることが難しく売買価格に大きく影響する要素なので、所有者が売却前に解決してから売るようにしたら売主買主ともに納得できるのではないでしょうか。

3 整備(リフォーム工事など)

目に見えない問題を解決したら次は物件そのものの再生工事です。人が快適に生活できるようにすることが目的です。いくらでも費用を掛けられるのでしたら古家を解体して新しく建て替えることもできるのですが、事業としては成り立ちません。現況の状態から如何にして生活できる状態まで再生するかを考えて、工事を行います。

1棟全部をみて荒廃した古家だから大手工務店やゼネコンに一括発注してしまおうと考えるのではなく、雨漏りの原因は屋根の一部の破損だと思う、傾きは地盤沈下ではなく床の腐食かもしれない、シロアリ対策ははじめから施す必要あり、上下水道埋設管は引込みし直しが必要、擁壁工事は部分補強で対応できる、このように一つひとつ分離して発注することで大きなコスト削減が可能になります。

最後にクロスの貼り替えやトイレ・風呂・キッチンと水回りのリフォームをしたらハウスクリーニングをして再生完了です。

4 入居付け(テナント募集)

いよいよ入居者募集です。不動産賃貸投資のリターンが賃料です。せっかく費用をかけて空家を再生したのですから少しでも高く貸したいところです。ただし、賃貸相場というものもあります。高値に執着し過ぎていつまでも空家のままでは、ただの浪費になってしまいます。だからといってあまりにも安く賃料を下げ過ぎてしまうと投資した費用を回収できなくなってしまうこともあります。

春の移動前の年末から3月の繁忙期とお盆の時期の閑散期とでは募集しても結果は異なりますが、特定の1社に賃貸募集を依頼するよりも複数の会社へ同時にお願いする方が早く決まると思います。

5 管理(家賃回収)

入居希望者が見つかり賃貸借契約の段階です。入居者には少しでも長く借りていただき安定した賃貸経営をしたいものです。そのためには、家賃が遅れることなく、契約通りの金額をお支払いいただくことが大前提になります。ご契約者には、契約時に支払能力のある連帯保証人を付けてもらい、家賃保証会社とも契約してもらうとより安心できます。

そして、不動産を所有している間の管理についても、管理会社へお願いするのか自主管理で所有するのかによって毎月のランニングコストも変わってきますので、管理内容も含めてきちんと考えて決めるようにします。

また、賃借人には契約時に損害保険に加入していただくことを条件にしますが、所有者である賃貸人も火災保険だけでなく、地震保険や入居者によっては孤独死保険への加入も検討するようにします。

6 売却(利益確定)

さて、最後の仕上げです。いくらで売却できるか?空家再生が事業として成功したかどうかはこの売却金額で決まります。老朽化の進んだ空家を購入し、権利や建物の痛みなどを修理して住めるように再生して入居者も決まりました。このまま所有して、家賃収入を得るという選択もあります。この記事の1から5までの段階で、かかった費用の合計金額に対して入居者からの家賃収入の割合が10%以上あるようでしたら、しばらく保有することも考えられます。

例えば、購入してから再生工事が完了するまでの総額が800万円になった不動産があったとします。この住宅を家賃8万円で貸すことができたとすると、年間の家賃収入は、96万円(8万円×12ヶ月)。投資利回りは、12%(96万円÷800万円×100%)になります。このままの家賃収入が続くとしたら8年と4ヶ月で総額の800万円を回収できることになります(維持管理費用は考慮していません)。それから売却したら、例え半分の400万円になってしまったとしても、そのままの金額が利益ということになります。

10年近くも保有していたくないというのでしたら、すぐに売却して利益を確定することもできます。仮に1000万円で売れたら、200万円の利益が確定することに(売却の経費と税金は別途必要)なります。

税金に関しては、長期譲渡(所有期間5年超)と短期譲渡(所有期間5年以下)では、所得税と住民税を足して長期譲渡は39.63%、短期譲渡は20.315%と大きく異なります(2013年から2037年までは復興特別所得税として所得税の2.1%相当が上乗せされています)。長期と短期では、税金が単純に約2倍もの差がありますので、しばらく所有される場合には、売却する時期に注意が必要です。(この所有期間5年の計算方法は、不動産を売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年間ある場合のことを言います)

7(1) 仕入れ(物件購入)

1の仕入れから6の売却のまでのサイクルの繰り返しで資産を増やす方法が不動産投資の基本です。6の売却で得た利益を1の仕入れの頭金に追加することで、一回りも二回りも多きな物件を購入できるようになり雪だるま式に資産を大きくしていくことが可能になります。

不動産も一つ一つ、物件の金額は大きくなりますが、場所、種別、大きさによって売買・賃貸ともに相場があります。利益が出るか出ないのか、結局は購入した価格次第によるところが大きいです。

安く仕入れて、高く売る。究極の転売ビジネスと言えそうです。

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